ピッチ上:初期評価

脳振盪の疑いがあるプレーヤーの初期評価では、標準的なSABCDEアプローチを適用します。

本文書内で説明していABCアプローチに加え、ピッチ上での「D=意識の障害」、または、まずはVPUを用いて神経学的評価をAを実施します。

頭部外傷を負ってAVPU評価で「V」以下の評価を受けたプレーヤーは、脊椎を固定して安全が確認されたらただちにフィールド外に退出させ、回復の兆候が見られない場合は、最寄りの救急医療部門へ速やかに搬送します。

AVPU評価で「A」の評価を受け、初期評価でその他の問題が認識されていなければ、フィールド上の評価に残された課題は、脳振盪を疑うべきか、プレーヤーをフィールドオブプレーから退出させて詳しい評価とフォローアップを行うべきかの判断です。

ピッチ上で脳振盪が疑われた場合の最低閾値については、さまざまな議論が取り交わされています。現時点では、頭部に衝撃を受けた際に脳振盪の症状、または、徴候(付録 1 「脳振盪認識ツール」の症状、および、徴候を参照)が見られた場合は、脳振盪を疑い、プレーヤーはプレーから退出させるという意見で一致しています。

ラグビーユニオン、および、その他のスポーツのヘルスケア専門家が直面する課題は、負傷したプレーヤーを一時的に交替ができないことで(出血があるプレーヤーを除く)、ピッチ上で初期臨床的評価に適した環境を確保しにくいことです。結果として、脳振盪を起こしたプレーヤーがフィールドオブプレーに残る傾向が見られます。

脳振盪を起こしたプレーヤーの初期評価に適した環境整備に対する解決策として、ワールドラグビーによる承認の下、プロのラグビーユニオンの試合において競技規則の変更を通じて検証されてきました。この規則では、頭部損傷を負ったプレーヤーの診断が標準的なピッチサイドの評価ツール(頭部外傷評価ツール、または、HIA、旧名PSCA)では確定できない場合に、12分間の一時的な交替を許可します。HIAツールの詳細は、ワールドラグビーのウェブサイトにある、「Concussion Management for Elite Level Match Day Medical Staff(エリートレベルのマッチデー医療スタッフ向け脳振盪管理)」を参照してください。

  1. プレーヤーが脳振盪の徴候、または、症状を見せており、絶対的に試合から外さなければならない状況と、診断がつかず、HIAツールの条件を満たすことから、詳しい評価を行うために試合から一時的に外す状況。

ワールドラグビーがHIAツールの使用を許可していない試合やトーナメントにおいては、脳振盪が疑われるプレーヤーを認識して退出させることが脳振盪の管理のポイントとなります。

頭部損傷の評価 − フィールド・オブ・プレーから恒久的に退場となる場合のフィールド上の対応症状                                                                                       

試合中、頭部への衝撃により、以下の兆候または症状のうちいずれかが見られるプレーヤーは、必ずフィールド・オブ・プレーから退場させなければならない。

  • 意識の喪失が確認された 意識の喪失の疑いがある  バランス感覚障害/運動失調  明らかに放心状態である/ふらついている 見当識の喪失(時間、場所、人についての記憶喪失) 明白な挙動の変化 痙攣  筋緊張  自発眼振などの眼球運動障害の兆候  明らかな混乱状態   フィールド上での評価で脳震盪の兆候または症状が認められた    自発眼振などの眼球運

頭部損傷の評価                                                                                       HIA 用ツールの対応症状および副次的神経学的評価

ワールドラグビー 公認試合では、以下の状況において、プレーヤーがHIAツールを使ったさらなる評価を受けるために最長10分間の一時交替をすることができる。

  • 診断が確定していない頭部損傷  挙動の変化が疑われる  混乱の疑いがある      脳震盪につながる可能性のある負傷の発生現場が目撃されている