Entonox
Entonoxは、50%の亜酸化窒素と50%の酸素から成る医療ガスです。
Entonoxを投与することで、傷病者の処置、または、移動で発生する疼痛を緩和することができます。「ラグビーにおける救急処置」では(禁忌を確認した後での投与は)、骨折や脱臼などのけがを安全に管理する際の最適な吸引式鎮痛処置とされています。
Entonoxのボンベは青と白のキャップが目印です。ガスボンベにシュレーダー式のバルブが取り付けられている場合は、デマンド弁の付いた呼吸器セットを使用した場合のみ使用可能となります。

投与
Entonoxは医師の監視下で投与します。マウスピース、バイトブロックもしくは顔面マスクを使用しガスをデマンド弁から自己吸入により投与します。デマンド弁は、傷病者が呼吸をすることで生じる小さな負圧で開きます。亜酸化窒素は同弁の呼出努力ポートから吐き出されます。

バルブを使用した投与では吸気時に抵抗があり、吸う力が必要なため、子どもが使用する際は、だいたい5歳以上のみとします。 5歳未満の子どもにEntonoxを投与する場合は、ガスの流れが持続的なTピース麻酔回路を使用します。これは自己管理式ではないため、麻酔科医が立ち会わなければなりません。 この方法は、病院前の処置には使用しません。
自己投与によるEntonoxの使用は、十分なEntonoxを吸い込んで意識レベルが低下すると、傷病者はバルブを保持することができずバルブが口から外れ、残りのガスを吐き出すため安全です。50%の酸素を混合することで、十分な酸素を傷病者に提供します。

Entonoxを投与する際は、傷病者は完全に意識があり、何をするべきか明確に理解していることを確認します。傷病者の気道は確保され、深呼吸ができなければなりません。 鎮痛効果を得るため、時には4~5回の呼吸をするだけで眠くなることがあるということを傷病者に伝えておくことが重要です。
亜酸化窒素は酸素や窒素よりも溶解性が高いため、体内の気腔へと放散されていきます。気胸の疑いがある傷病者、または、最近にスキューバダイビングをした傷病者への使用は危険を伴います。同様に、腸閉塞、または、頭部損傷を受けた傷病者への使用では、亜酸化窒素は圧力を上昇させてしまう効果があるため、注意が必要です。
Entonox投与における禁忌
- 頭部損傷および↓GCS: 眠気、または、意識の消失、および、気瘤の拡張リスクの増加
- 胸部損傷: 亜酸化窒素は窒素の34倍の溶解性を持ちます。この特性により、体内の気腔へ窒素よりも急速に放散されます。これにより空間ボリュームが増加し、そこにガスが充満することで圧力が上昇します。結果として、気胸、および閉鎖性気胸が緊張性気胸へと発展するリスクが高まります。
- 空気塞栓: 拡張の増加
- 顎顔面損傷: 外科的気腫、および眼窩底骨折リスクの増加
- 減圧症: 溶解性の増加により血流内に窒素の気泡が混入
- 中毒症: アルコール、または、薬物効果を増加させる可能性
海外での利用
Entonoxを海外で使用する場合は、あなたの国で使用されているバルブとは異なるバルブが必要になる場合があります。
一部の国ではEntonoxの使用が違法とされているため、スポーツチームに帯同して海外遠征へ出発する前に、Entonoxの所有について渡航先国の医療法での扱いを確認することが重要です。
Entonox の他に、外傷による中度から重度の痛みを伴う、意識のある成人用に救急鎮痛剤として使用するPenthrox (methoxyflurane)があります。
